大切な人
大切な人の声が毎日聞きたいから 毎日傍に居る。
大切な人が飢えないように 毎日温かい食事に気を配る。
大切な人が疲れないように 時々そっと目を瞑る。
大切な人が迷わないように 帰り道に光る小石を。
大切な人が退屈しないように 毎日気の利いたジョークを。
大切な人が寒くないように いつでも抱きしめる用意は出来ている。
そして、大切な人の綺麗な涙が見たいから 時々死んだ振りをする。
大切な人は映画が見たいという。
大切な人はアンハッピーな映画が見たいという。
物語の中くらい幸せなお話を、と思ったけれど、
大切な人のために 何も言わなかった。