子供の頃のお話・1
アラシヤマはロッドのことを愛していた。
その金髪は触れると思いのほか柔らかく、青い瞳は時折若草色に輝いた。
彼がアラシヤマを呼ぶ声は温かかった。
そして手のひら。
そう、ロッドは生まれて初めてアラシヤマを優しく撫でてくれた人であった。
アラシヤマの炎を恐怖せず、それどころか風を生み出して消し去ってくれた。
その時の震えるような喜びを今でも覚えている。
そうして、死体のように無気力だった瞳に生きる意志が灯り、恨み節を唱えることを覚え、
師に服従を誓い、今のアラシヤマが誕生する。
口を開けば、遠く捨て去ったはずの京言葉。
生まれた場所に愛着を持つような恵まれた子供ではなかった。全てを燃やし尽くす程にも踏み込まなかった。
ただ捨てられて売られて転がって生きてきた。行き着く先が同じ炎を持つ師の下であったのは幸福な必然だ。
そして炎を消し去る風を持つ男がその傍らに居たことも。
ロッドを愛していた。それとは知らず。真実近しい者として。