紫陽花は食べられません
今年もじめじめとした梅雨が来る。
日本は面倒くさい季節が多い。
雨は鬱陶しい。反吐が出そうだ。
そして、あれを思い出す。
じめじめと濡れた瞳で恨めしそうに私を見ていた。
ぎょろりと不恰好にでかい黒目。犬のような目。馬鹿な子供。
柔らかい身体を小さくして隅っこにキュウと蹲って私を見ていた。
雨は音を内包して地面に落ちる。
奇妙な静寂を、部屋の隅で丸くなる私にそっくりな生き物と味わう午後。
雨の日。
一人きりの部屋の隅に、気配を感じることがある。
馬鹿馬鹿しいと思う時期も、苛立つ時期も、過ぎ去って。
今は、錯覚だと判っている気配と共に雨垂れを見送る。
6月の風物詩。