子供の頃のお話・2






血が繋がるとはどういうことだろう。


アラシヤマは師と床を共にする度に考える。
師がアラシヤマの前で硬く快楽を示し、この身体を使って高まって果てる行為はまるで夢のようだ。
アラシヤマは口内で師の男に仕えながらうっとりと夢想する。
吸い込む要領で頭を前後させつつ舌を絡める。ベッドの上で師が小さく呻く。
その真っ白な裸体に見惚れる。薄い腰を撫でさする。
低い体温が、それでもうっすらと汗を帯びている。

この人のようになりたいなどと言うおこがましい思いは身体を重ねる瞬間に消え失せる。
ただ。死を思う。

師を身体の内に感じながら死を思う。その恍惚。


ゴミ屑のようなアラシヤマの肉に欲情を吐き出す。
あなたの中にも悲しみや怒りや喜びがあるとは思わない。
神様。アラシヤマにとっては最後まで、あなたは遠く燦然と輝く神だ。
だからこそ道は別れ、思いを違い、それでも尚憧れて止まない。


炎を。







――――そうしておとなになりました。